軍に内部調査能力がないと思っているワシ氏

>外国政府⇒日本外務省⇒(憲兵)⇒陸軍中央部⇒現地軍・・・。

内部調査?十条が勝手に言った事はどうでも良い。要はその憲兵は誰から被害届の情報を得たか?って事だ。

これも前提が間違っています。
憲兵部が軍内部での掠奪や強姦の実態を大まかに把握するのに、「被害届」は必要とはしないからです。
当たり前のことですが、憲兵部は自らの内部調査で、軍紀・風紀の実態把握を行うわけです。


例えば第六師団の場合、安全区内に入っていないわけですから、国際委の報告の中には「第六師団の掠奪・強姦」は含まれていません。

しかしそれでも、第六師団の稲葉師団長、牛島旅団長は以下のように認識していたわけです。
つまり、国際委からの被害届の有無にかかわらず、内部調査によって「強姦罪などがやまない」と認識していたわけです。

(中略)近く漢口に進入するに際し、南京で前科のある第六師団をして如何にして正々堂々と漢口に入城せしむるかを師、旅団長と相談するに在った。ところが、稲葉師団長と第一線を承る牛島旅団長(後の沖縄の軍司令官)は、既にこの事に関し成案を立てていた。両氏が言うには、『わが師団の兵はまだまだ強姦罪などが止まないから、漢口市街に進入せしむるのは、師団中最も軍、風紀の正しい都城聯隊(宮崎県)の二大隊に限り、他の全部は漢口北部を前進せしむる計画で、前衛の聯隊を逐次交代し、漢口全面に到達するときには必ず都城聯隊を前衛とするようにする』と。(「岡村寧次大将資料 上」312頁)

当然他の師団の憲兵部も、国際委の被害届の有無にかかわらず、独自の内部調査を行っているのは自明です。また、阿南が現地調査した折に、憲兵部から聴取するのも自明の事柄です。

したがって、阿南が入手した情報は、国際委の被害届とは別に、軍の内部調査に基づくものが含まれているのは自明の事柄です。